槭樹科
引用
『槭樹科』(名古屋大学附属図書館所蔵)「伊藤圭介文庫 錦窠図譜の世界」収録(https://da.adm.thers.ac.jp/item/n002-20230901-05371)
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ID
M2005033015482818449
コレクション内カテゴリ
- 錦窠植物図説
書名
槭樹科
別タイトル / 旧書名
Vol. 032 槭樹科
巻次
032-045
本文言語
日本語
翻刻・翻訳
得ル迄凝固ス、北アメリカニ於テ年々七百万斤ヨリ千二百万斤迄ヲ得、此糖ハ預メ煎煮スルヲ要セズ、但其土ニノミ需要シ竭ス、一般ノ商賈ニ出サズ、又甘蔗糖ノ如ク石灰及牛血ヲ和シテ精製シ、蒸餅糖トナスベシ○地理全志米利堅合衆部志云、楓樹高茂汁甘可以煎糖、又連邦志略曰、邦中楓樹雑出、春取其汁熬之則成糖ト、按是槭カヘデ(カヘテ砂、訂正)糖ナリ(■、訂正)、ソノカヘデヲ以楓ニ充ツルモノハ中五車韻府、漢英対訳ノ書、ニモ楓樹Acerト註セリ、是英人ノカヘデヲ支那人ニ問ヒシニ楓ナリト皆答ヘシナルベシ、我邦本草家、カヘデヲ以テ清人ニ質問スルモノ亦楓ト答フルモノ多シ、是楓トカヘデハソノ属各別ニシテ楓ハLiquidamberニシテAcerニ非ザレドモ、葉形相似タルモノヲ以支那ニテ亦楓ノ類トシ、槭ニテソノ名ヲ呼ナルベシ、タウカヘデモAcerナレドモ楓ト称シ舶来スト云、カヘテハ我邦ニテ先輩ヲ以テ槭樹、或野雞楓トス、其説一定ナラズ、猶追テ考フベシ○余亜墨利加舶齎ノカヘデ糖ヲ試ムルニ、甘蔗糖ニ異ナルコト無シ、甘蔗ハ南方暖地ナラデハ育シ難シ、カヘデハ北地山中ニ自生シ、培養ヲ俟タズ、且製造ニ労ナシ、小家ト雖ドモ自ラ製シ用フルニ便ナリ、彼サトウカヘデノ図ヲ検スルニ、木曽ノ「ソロツコカヘデ」、又日光山中ノ「オガラハナ」等ニ頗ル相似タリ、ソノ形状ニ拘ハラス遍クカヘデノ類ヲ検査シ、糖質ノ有無、多少ヲ実験セントス、余邸屋ノ小庭幸ニ一株ノカヘデアリ、即我尋常ノモミヂ、カヘデニシテ紅葉ヲ賞ル品ナリ、ソノ幹大ナラズシテ、周囲二尺ニ過ズ、去臘尾ヨリ春頭ニ至テ豚児、塾生等試ニ小刀ヲ以テソノ幹ヲ鑚刺スルニ創口ヨリ稀液多ク流出セリ、大約朝辰牌ヨリ流出シ申牌ニ至テ止ム、毎日斯ノ如シ、一度創ヲ為セバ月々同処ヨリ出ツ、此液稀薄水ノ如ト雖ドモ淋漓シ、樹皮ヲ伝フテ或ハ褐色ヲナス、味淡甘ニシテ微渋ヲ帯ブ、之ヲ火ニ上セ蒸発スレバ淡褐ノ液トナル、尚煎熬シテ舎利別又飴ノ如クニナリ、終ニ糖ヲ得、味甘蔗糖ニ異ナルコト無シ、此液一合許ニシテ無患子ノ大サ程ノ糖ヲ得タリ、是創メテ試ムル所ナリ、若シ屡々経験シ、更ニ良法ヲ検出シ此液ヲ多ク采収シテソノ糖ヲ精製セバ佳好ノ糖品ヲ多量ニ得ベキコト疑ヲ容レズ、文久二年壬戌三月(同七月再識旭園主人、抹消)錦窠老人識、識於市谷邸舎/今(アセル、抹消)楓字ヲ仮用テ亦カヘデ(ヲシテ、抹消)ニ用ユ、読者怪ム勿レ
所蔵機関
名古屋大学附属図書館
メタデータ提供者
名古屋大学附属図書館
資料種別
和古書
画像有無
カラー
コレクション
伊藤圭介文庫 錦窠図譜の世界
日本における近代植物学の祖といわれる伊藤圭介の稿本(手書き本)188冊を集めたもので、その中には、錦窠植物図説、採草叢書の他、錦窠魚譜、錦窠虫譜等があります。
所蔵機関
名古屋大学附属図書館
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