槭樹科

日本語

イタヤ、土俗、トベニト称ス、其質極テ堅シ、故ニ板片ト為シ難シ、多クソ鉞ヲ作リ若クハ薪トナス、石狩最多ク此木ヲ産ス、然トモ其幅一尺余長サ七尺ヨリ大ナル板片ト為ス、可キモノ少シ、又根室ノ所産ハ石狩ノモノヨリ大ナリ｛北海道木材書付、朱書｝／○トベニ、イタヤ〈松前〉、カヘデ、カヘルデといふ義なり、野鶏楓【京保復言】、此樹の種類夷（ヒナ）にはことに多し、其義紫葛に似たるものあり、俗に鬼モミチと云、五尖七尖のものあり、木芙蓉に似たるものあり、東都にて常盤モミヂと云、冬月萎（しほ）ます、大葉にして十余尖のものあり、東都にてイタヤト云、夷中の刀把及諸器物おほくは此材にてつくると云、其木理稠密にして柔軟なり、其色白く少しホホカシハなとに似たり、此材夷中の鈍刀を毀（こほ）たす｛蝦夷草木志料、朱書｝