いさよひ物語

和歌撰集。内容は①序全文「比ハやよひの十六のよひくもゐにあそふ月をなかめてむかしもいとなつかしくこひしく侍りぬいにしへをおもひいてゝくちすさひしたるやまとうた人の心のたねとやならんともしほくさかきあつめつゝしるし侍りぬ」、以下「寄月恋／いかにしてなみたつゝまんかけやとす月こそ袖の色にいつとも／もらすなよ露のよすかの袖の月くさはの外のやとり有とも」～「まちえても人のちきりそうかりけるおなしうらみのやまのはの月／身をさらぬ面かけはかりさやかにて月のためうき我なみたかな」等７１首の「寄月恋」題和歌集。奥に「右七十一首　参議為家」。②「寄雲恋／ものおもふこゝろの色に染られてめにみるくもゝ人や恋しき／恋あまるなかめを人はしりもせしわれと染なす雲のゆふくれ」等８首の「寄雲恋」題和歌集。奥に「右八首之詠歌為家卿」。③「寄葵恋あふひ／ほのかにも人をみあれのあふひ草こゝろにかけて恋ぬ日もなし／寄葛恋くす／秋かせにたままく葛のしたつゆやうらみにたへぬなみたなるらん」～「寄鐘恋かね／ひとりぬる霜夜のかねのひゝきより秋にふけゆくちきりをそしる／寄水恋みつ／ともすれは岩間つたひに行水のとゝこほりてもぬるゝ袖かな」等４４首の寄恋題和歌集。奥書なし。①②の奥に為家とあるが、諸家歌集。