棕櫚科 下
引用
『棕櫚科 下』(名古屋大学附属図書館所蔵)「伊藤圭介文庫 錦窠図譜の世界」収録(https://da.adm.thers.ac.jp/item/n002-20230901-17321)
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ID
M2005033019554137003
コレクション内カテゴリ
- 錦窠植物図説
書名
棕櫚科 下
別タイトル / 旧書名
Vol. 129 棕櫚科 下
巻次
129-032
本文言語
日本語
翻刻・翻訳
直立して上に葉を茂生し誠に茶道風雅の人抔愛して慈(いつ)くしむ所の者なり、蓋し此樹の種子を蒔(ま)くハ春分にありて其発生甚容易なる者なり、烏雀の実を喰ふて其処に糞を泄(もら)せハ亦よく苗を生長せしむと云へり、之を移植するに秋分を良とす、其繁盛昌茂するに尤も適当なる土地ハ軽鬆微湿の地にして、南方温暖の地に植れハ長生甚た速かなり、北方寒地に在りてハ種子を蒔き附くるも決して効なし、植附は移植の後ち一月余りハ泥水を根辺に注くへし、又其皮を剥くハ年に両三度とす、一坪に四五本とし、一段歩に千二百本とし、壱町歩に一万二千本とす、今之が予算を立て其利益を左に示さんに、設例(たと)へハ一丁歩の山地を所持する者、即ち此一丁歩に棕櫚を植附るに其数一万二千本とすれば、剥皮一万四千四百枚なり、此代価一枚五厘つゝに売却するも七百二十円を手にすへし、其葉ハ一万四千四百葉にして之を蝿叩きに製し一本代価二厘を以て売却するとせハ二百八十八円なり、之を合計すれバ則ち一千○○八円にして其内諸雑貨を引き去るも尚ほ五六百円余の利金を得へし、然れとも棕櫚ハ種子を蒔き附てより十二三ヶ年を経されは剥皮の利益なきものなれば、是れを所謂十年の計ハ樹を植るに在りと云ふへき者か、我輩の在に予算を立てし者ハ棕櫚の種子を蒔き附るより凡そ十四年程と経たるものに付ての調査なれば、未だ年数を累ねさる棕櫚なれハ右の計算よりも其利益減すへし、【林学協会集誌 第三十壱号】
所蔵機関
名古屋大学附属図書館
メタデータ提供者
名古屋大学附属図書館
資料種別
和古書
画像有無
カラー
コレクション
伊藤圭介文庫 錦窠図譜の世界
日本における近代植物学の祖といわれる伊藤圭介の稿本(手書き本)188冊を集めたもので、その中には、錦窠植物図説、採草叢書の他、錦窠魚譜、錦窠虫譜等があります。
所蔵機関
名古屋大学附属図書館
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