松柏科

日本語

ちらすなよこのてかしはの薄紅葉はもりの神もめてさらめやハ、壬二集中ノ下紅葉の歌、家隆、長月の時雨ふるらしなら山のこのてかしはも色つきにけり、今このてかしはといふものとハ違ひて、但広葉檪（ナラ）の児の手に似たるといふにや、紅葉するといふにて常盤木の柏にハあらさるべし、万葉集に、よしの川いはとかしはの常盤なる我ハかよワむ万世まてに、顕昭か注ニ云いはとかしはとハいはにをひたる柏也、かしはハ常盤にならねと岩によせてかくのことくにあると云々、是ハ顕昭のあやまりにや、新千載集冬の部に順徳院、吉野川岩戸かしはの初時雨きはの色は今朝もつれなしとあり、されば岩戸かしはといへる常盤木のかしはと見へたり、貞徳もそれらを思ひ松柏の後彫なと考へ合せて柏のちるは夏なりとせしれたり、かやうの常盤木の散ハ夏也、それを初秋に紅葉]して散ものなどゝ無言抄にいへるは猶いぶかしき栢なり、祇注の如きハたしかに広葉