殼斗科　槲譜

日本語

○塞子、下谷区谷中三崎南町の志水又平といふハ、数年来塞子の製造を業とし一昨年の内国勧業博覧会に有効賞を得たる人にて益ゝ其業を盛にせんと欲し、同年六月中遠州地方を巡回して榛原郡大代村字奥山の官林に塞子材とする適当の櫟樹凡三千本あるを見出したるに付、其皮の空く朽敗するハ惜むへきことなれは、右檪皮払下けを請ふ由、過日出願したり、其上納代料ハ櫟樹一千本に付五円なりと聞く、｛右明治十六年三月十日、【報知新聞】、朱書｝／きよかこ、紅毛人持来る芝類と見へたり、ふらすこの口にもちゐるもの也、性柔らかにして水滴を泄さす、【和訓栞正編　巻之五】ニ出／｛【林学協会集誌】第六号、朱書｝○栓皮槲ハ西班牙（イスパニア）及亜児設里ニ多シ、仏国ノ南部モ亦大ニ培養売出ス、此樹二種アリ、一ハ甘味ノ実ヲ結ヒ、一ハ苦味ノ実ヲ結フ、而シテ甘味ノ実ヲ結フ者ハ栓皮ノ品位好良ニシテ其価額モ亦高シ、｛此前後ニ説アリ、略ス、朱書｝