樟科
引用
『樟科』(名古屋大学附属図書館所蔵)「伊藤圭介文庫 錦窠図譜の世界」収録(https://da.adm.thers.ac.jp/item/n002-20230901-11942)
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ID
M2005033017553430581
コレクション内カテゴリ
- 錦窠植物図説
書名
樟科
別タイトル / 旧書名
Vol. 095 樟科
巻次
095-027
本文言語
日本語
内容注記
名称: イヌグス, 学名: Machilus thunbergii Sieb. et Zucc.
翻刻・翻訳
天(てん)より降(ふり)たる豆(まめ)の弁(べん)、およそ非常(つねあらぬ)の物の天より降(ふ)る事ハ昔も今も稀に有る事にして其物に就て考ふれバ決して怪(あやし)むに足らざれども流俗の習ひ諛(へつらひ)を好む者ハ嘉瑞(かずゐ)と云ひ罵(のゝし)り、痴呆(をろか)なる者ハ災異(わざハひ)として恐怖(きょうふ)し、種々の妄説(まうせつ)を唱(とな)ふる事あり、されハ物学びする人ハ笱且(かりそめ)の事にも心を用ひ、物を挌(いた)し理を窮(きわ)めて惑(まどひ)を弁(わきま)へしむべくなん○今(ことし)茲慶応元乙丑年閏五月下旬より六月の初まで天より豆の如き物を降(ふ)らす事数十度なり、或時ハ風雨を随て降り、或時ハ晴天風雲無くして此物のミ降る事あり、始メは其物詳ならず、或ハ菩提樹(ボダイジュ)の実なりと云ひ、或ハギンマメの根に生ずる実なりと云、諸説紛々たり、然るに其実を精く検するに樟樹(クスノキ)の属(たくひ)たる事疑(うたが)ひ無し、尚其證拠(しようこ)を得んと欲せしに偶(たまたま)東叡山多宝塔の辺に於てヤマクスの大樹ありて夥多(あまた)の実を結べるを見る、其樹下に落たる者を見るに所々に降たる者と少しも異(こと)なる事無し、是に於て疑念氷解(ぎねんひょうかい)せり、此樹ハ樟(くす)の類にして処々自生の者少からず、蓋(けだ)し其実将(まさ)に熟せんとするに方(あた)りて飃〓(つむじ)の為に巻上げられ所々に降りし者あるべし、其後晴天に降りし者に至てハ事状頗る疑ふ可し、恐くハ狡獪(さるぢゑ)の徒の所為なるべし、其樹既に知らるゝ上は実の落る事何ぞ怪(あやし)むに足らん、依て其図を刻して同社に頒(わか)つ○附、唐土(もろこし)にても樹実(きのミ)の降たる事あり、其物詳ならざるに依て月中の桂実(かつらのミ)ならんと云ひ伝へ、是に月桂(げつけい)の名を命ぜし事、本草綱目に見えたり、其月桂ハ即ち天竺桂(ヤブニクケイ)なり、又西洋の記録を按ずるに、橡実(トチノミ)、白屈菜(クサノソウ)の実(ミ)等の降りたる例少からず、又今より六十二年前イスパニヤ国レオンと云地にて豆の如きもの一度に千二百斤程降たる事あり、是を食するに頗美味なりしと云、窮理家(きうりか)の説に是ハセンダイハギの類の実なりとぞ、東陽齋主人記/皮を去るの図、実の図、ヤマクス、一名イヌクス、又アオクスとも云、蘭名アメリカーンセ ラウリール
科目
クスノキ目クスノキ科
人名
東陽齋主人
所蔵機関
名古屋大学附属図書館
メタデータ提供者
名古屋大学附属図書館
資料種別
和古書
画像有無
カラー
コレクション
伊藤圭介文庫 錦窠図譜の世界
日本における近代植物学の祖といわれる伊藤圭介の稿本(手書き本)188冊を集めたもので、その中には、錦窠植物図説、採草叢書の他、錦窠魚譜、錦窠虫譜等があります。
所蔵機関
名古屋大学附属図書館
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