石南科　躑躅譜

日本語

杜鵑花、サツキツヽジ、五月ニ花開クヲモ今略シテサツキト云、ツヽジノヲクテ也、新葉出揃テ花開ク物也○瓔珞ツヽジハ近所ニナシ、大原ニ多シ、土民土産ニ京ニ持来ル、葉小サク高野箒ノ如シ、花二分斗ヅヽ咲キ、茎細ソク葉間ヨリ五ツ六ツ二成リ下垂ス、花色紫赤ニシテ見ルニ足ラズ、此ノ花ノ白色ニシテ上ニ立枝ノ梢ニ並ビ着ク物アリ、此ヲトウダイツヽジ、ヤシヲツヽジ、朝間ツヽジ、ニイカハヤシヲトモ云、愛宕山或ハ鷹カ峯ニモアリ、瓔珞ツヽジハツヽジ類ナレトモ杜鵑花ノ類ニ非ズ、トウダイツヽジヲ若水説ニ山礬ニ充ツ、非也、トウダイツヽジヲ肥前デハウンゼンツヽジト云、温泉山ニ多キユヘ也、花戸ニテ熊野ウンゼント云ハ別也、此ハ葉至テ小サク、姫ツゲ又ハ遠志（ヒメハギ）ノ如キヲ云、此ニモ品類多シ、｛【大和本草会識】、朱書｝／（サ）、サツキ／さつき、｛【花名集】、朱書｝、山小木、葉細ク小サくしてつまりて多也、花穂ニ咲、つゝしの如く小輪なるへし、岩木の上に根をおろし生る木也、よく枝つまる也、花四月比にひらく、名花多し、五月能と咲也、水車、白地に紅い薄辺の咲分、色にさらさほひ、花形風車草の如く大輪也、松島とも言ふ、須磨、薄紅花入少しあり、中輪、花形よくさくてねとも言ふ也、源氏紫、薄紫の色にてふち白、中輪、見事也、はかた、雪白の大輪一重也、八木の内なるへし、藤重ね、八重、紅井小輪、格上の見事なり、松嶌、白地に赤の■も飛入、■にくるひ大輪、八木の内なるへし