桜譜
引用
『桜譜』(名古屋大学附属図書館所蔵)「伊藤圭介文庫 錦窠図譜の世界」収録(https://da.adm.thers.ac.jp/item/n002-20230901-07385)
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ID
M2005033016273122414
コレクション内カテゴリ
- 錦窠植物図説
書名
桜譜
別タイトル / 旧書名
Vol. 048 桜譜
巻次
048-105
本文言語
日本語
翻刻・翻訳
おくれて見さりき、残り多き事なり、彼国の人に此桜の由来を聞くに、むかし山越の里に老人有りけるか、年殊に老て、其上重き病にふし、頼ミすくなくなりけるに、只此谷の桜に先立て花をも見ずして死になん事のミをなげきて、今一たひ花を見て死しなハ浮世に思ひのこす事もあらじなとせちに聞へけれハ、其子かなしミなげきて此桜の木の本に行て、我父の死しゐハさる前に花を咲せたハれと誠の心をつくして天地にいのり願ひけるに、其孝心鬼神もかんし賜ひけん、一夜の間に花咲乱れ、あたかも三月の頃のことくなりけり、此乱りける日正月十六日なりけれハ、其後ハ今の世にいたるまても猶正月十六日に咲けるなりとそ、其由来も又正しかりぬ、又伊勢国白子といふに子安の観音とて名高き寺あり、其寺内に不断桜とて常に花咲る桜あり、是ハ都近けれバ古今ともに其名高く、歌人俳人もつとも吟詠多し、只三月ハ殊に花多く、其余ハ花すくなし、冬などハ纔に尋求めて見付る程なり、然れとも常に其花たへずして咲る事世にたぐゐなき名木なり、又薩州にハ崎嶋とて冬の内より咲る桜あり、予か遊ひし年ハ殊に暖なりしゆへにや、寒中に桜多く咲たれハ珍敷て所の人にたずねけるに崎嶋桜とていつもかくのことしといふ、正月はしめにハ真盛也、彼国ハ人家に多くうへてめづらしからず、崎嶋とハ琉球の領分にて琉球より南の方弐三百里へだヽれるよし、誠に
所蔵機関
名古屋大学附属図書館
メタデータ提供者
名古屋大学附属図書館
資料種別
和古書
画像有無
カラー
コレクション
伊藤圭介文庫 錦窠図譜の世界
日本における近代植物学の祖といわれる伊藤圭介の稿本(手書き本)188冊を集めたもので、その中には、錦窠植物図説、採草叢書の他、錦窠魚譜、錦窠虫譜等があります。
所蔵機関
名古屋大学附属図書館
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