桜譜
引用
『桜譜』(名古屋大学附属図書館所蔵)「伊藤圭介文庫 錦窠図譜の世界」収録(https://da.adm.thers.ac.jp/item/n002-20230901-07187)
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ID
M2005033016234122023
コレクション内カテゴリ
- 錦窠植物図説
書名
桜譜
別タイトル / 旧書名
Vol. 047 桜譜
巻次
047-087
本文言語
日本語
翻刻・翻訳
○十六日桜、伊予国松山ノ城下ノ北ニ山越ト云所アリ、此所ニ十六日桜トテ毎年正月十六日ニハ此桜満開シテ見事ナリ、松山ヨリ、花見トテ貴賤群集ス、寒気面ヲソギ、余雪梢ヲ封スル頃ニ此桜ノミ色香メデタク吹出レバ、遠近ノ人共以テハヤシテ、殊ニ其名高シスキシ頃、先太守ヨリ和歌ノ御師範京都ノ冷泉家ヘ此花ヲ賜リタマヒシコトアリ、其時冷泉殿ヨリ後返歌ノ御歌アリ、十六日桜ト云花ヲ頃シモ睦月半ノタヨリニ折マセシヲ末ノ四日ニ都ニ来リツキテ、色モウルハシク驚クハカリノ初花桜ノ花ニナン、賞玩ノ辞、きゑのころ、雪かとみれば、年々の、む月半に、さくといふ、初花桜、はつ春の、柳の木のめ、それもまだ、色別そむる、ころにはや、若葉催し、ほころふを、散さぬ風の、たよりとて、心有人の、見せはやと、折こせはこそ、けふ見そめつれ、反歌、初春の初花桜めつらしき都の梅のさかりにそ見る、猶此外に都鄙の詩人歌人俳人なと見る人ことに吟詠して賞翫するの彼国に遊しは、四月の頃なり、しかば花の時におくれて見ざりき、残り多き事なり、彼国の人に此桜の由来を聞に、むかし山越の里に老人有けるか、年毎に老て、其上重き病にふし、頼すくなくなりけるに、只此谷の桜に先立て花をも見ずして、死になん事のみをなけきみて一たび花を見て死しなむ、浮世の思ひのこす事もあらじなとせちに聞へければ、其事かなしみなげきて、此桜の木の本に行て、何とぞ我父の死し給はさる前に、花を咲せ給はれと誠の心をつくして、天地にいのり願けるに、其孝心鬼神もかんしいり
所蔵機関
名古屋大学附属図書館
メタデータ提供者
名古屋大学附属図書館
資料種別
和古書
画像有無
カラー
コレクション
伊藤圭介文庫 錦窠図譜の世界
日本における近代植物学の祖といわれる伊藤圭介の稿本(手書き本)188冊を集めたもので、その中には、錦窠植物図説、採草叢書の他、錦窠魚譜、錦窠虫譜等があります。
所蔵機関
名古屋大学附属図書館
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