薔薇科　桃譜

日本語

二類トス、其一ハ之ヲ動核（フリーストーン）ト名ツク、其石核果肉ニ粘着セスシテ自由ニ運動スル者、其二ハ之ヲ静核（クリンクストーン）ト名ツケテ、其石核果肉ニ密着シテ転動セサル者是ナリ、桃及油桃、羅甸名アミクタリユスペルジカハ、其石核ヲ種ヱテ之ヲ蕃殖セシムヘク、且従来果実精美ノ種類モ亦此法ヲ以伝播シタリト雖、凡種子ヨリ生シタル雑樹ハ変性測ラレス、其究竟スル前知ス可ラサル者ナレハ、徒ニ此法ノミニ憑依シテ之ヲ蕃殖セントスルハ、未善美ヲ盡シタルノ策ト偽スニ足ラス、然ラハ即此法ヲ捨テヽ何ニ由ルヤ曰ク、駁樹（バツチング）法、解巻ニ見ユ、是ナリ、桃及ヒ油桃ニ尋常ノ接樹法ヲ施スハ甚稀ニシテ、通常ハ一桃樹ノ已ニ結果性ヲ得テ其収穫頗豊富ナル者ヨリ其樹芽ヲ択ヒ取リ、洋梅或ハ杏樹ノ大少ニシテ強健ナル者ヲ駁シテ、樹皮ノ一部分ヲ剥取シテ其新鮮ノ面ヲ曝露セシム、母樹ト為シ、之ヲ密着接合セシムルモノナリ、即駁樹法ナリ、稚樹園丁ハ此法ニ因リ多ク洋梅ヲ用ヒテ母樹ト為シ、稚桃樹ヲ養成ス、此術ヲ行フニハ七月下旬八月初旬ヲ以テ好期トス、爾後其芽子漸々ニ長育膨脹スト雖、明春迄ハ決シテ新枝ヲ萌出セス、春時ニ当リテ其樹ノ頂部ヲ剪截シテ、此芽子ノ上一「インチ」ノ距離ニ及フヘシ、然ルトキハ芽子始メテ萌発ノ勢ヲ生シ、一二条ノ新枝ヲ出スニ至ル稚樹園丁棑枝樹、解上ニ見ユ、トシテ之ヲ販／洋■／二

バラ目バラ科