無患樹科

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栗類尤衆此特殊味専蓬若橡託神以貴、右天師栗、生青城山中他処無有也、似栗味美、惟独房為異久食巳風攣【益戸方物略記】／とち餅、博多にあり、とち餅屋九右衛門と云者其製精し、国君にも是を奉る、はいの木の葉を焼て灰汁とし米を染て製す故に其色黄なり、其味脆寒（ぜいかん）、もろくひやしか、にして甜美なり、隣国よりも来り、買者多し、是寛永の初年高麗人博多にて始て此製法を教へたりといふ、他国にはいまた此物ある事を聞かす、京都、江戸食品珍羞（ちんしう）甚多しといへとも是なく、とち餅とはいへともとちの木は用ひす、はいの木を誤てとちといふなるへし｛【筑前続風土記】、朱書｝／○櫔（レイ）王篇ニ力制切木ノ名子如栗、○栃杤なとと書は俗字なり、また橡栩檪梂等の字もとちと訓す｛【越名府蹟志】、朱書｝／天師栗粉（トチノミノコ）、秋田県羽後国秋田郡森吉村産、製法、山中ニ入リ七葉樹子（トチノミ）ヲ拾ヒ、春砕シテ盤ニ盛リ水ニ漬シ三日間ヲ経テ水ヲ去リ木灰汁一斗ニ清水二升五合許ヲ加ヘ放置スル、一昼夜又水ヲ換フルコト前次ノ如クスレハ苦渋全ク去ル乃笊ニ移シ洗滌シテ麤皮ヲ淘去シ、嚢ニ盛リ圧石ヲ加ヘテ圧〓シ盤ヲ其下ニ安シテ滴〓ヲ受ケ澱粉【十年博覧ー（十年博覧会会説）】、吉田ーー／六ノ六