錦葵科

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○木槿ハ富次郎云、熊野新宮辺川ノ崖石ノ間ニ生ス、白花紫花モアリ、自生ト思ハル／槿【ケムフル日本本草ノ部】／木槿、むくげ、○東国にてはちすと云、京江戸共にむくけと云、常陸及上総、下総にてきばち又もつきといふ、もくきんの下略也、九州にてぼてんくわといふ、奥州にてかきつはた又きはちと云、南部にてはきはちすと云、これ和名なり、万葉に、あさかほは朝露をふてさくといへと夕かけにこそ咲まさりけれ、と詠せし、朝顔は槿花ならす、和名抄に牽牛花あさかほと訓す、古今物名、けにごしと詠るは今云あさがほなり、同名異物なり｛【物類称呼】、朱書｝／ムクゲ／○朝顔（アサカホ）、巻八、又藤袴朝顔之花、巻十、朝果朝露負次下朝容貌、巻十四、安佐我保ト書ル和名抄牽牛子、和名阿佐加保云云、按ニ古人朝顔ト咏ルニ三種アリ、上ニ引ル巻十ナルハ木槿也、槿花ハ朝ニ咲テ日暮テ萎ムモノナレハ夕カケニコソ咲マサルトハヨメリ、詩ニ所謂顔如舜華朱注舜木槿也トアル此ナリ、又巻八ナルハ秋ノ野ノ七草ヲ詠ルカ中ナレハ一種別物ナルヘシ、牽牛子ハモト野生ノ物ニアラス、或ハ桔梗ナラムト云レトイカカ、古今集物名ニケニコシト出セルハ其実ヲ以テイヘリ｛【万葉名物考】、朱書｝