瑞香科

日本語

一、荒皮を削るも亦時日を経るに随ひ皮剛くして手数を費すの憂あり、故に生皮の内削るを良とす、一、荒皮を削るにハ水につけ薄刃庖丁にて黒皮、青皮節等を丁寧に削りとり、極精にして屑皮の付着せさる様清水にて洗浄し、竿にかけ乾し上ぐべし、併し塵埃は大に抄造に害あるものに付尤注意すべし、一、乾方宜しからず、聊にても湿気の存する時ハ其所より黒点を生じ朽腐して抄造に害あり、故に宜しく丁寧に乾し上く可し、一、皮の質ハ肉の厚き方を良とす、一、原質に用ふるにハ幹の中央より土際の根株に至る迄の間を良とす、一、数十年を経たる雁皮ハ製する所の紙質光沢なし、故に十年以下のものを良とす、因に云、静岡県にて管下への諭達を弊会通信所、梅原氏より報知の文中に精白の雁皮一貫目一円廿五銭より多からす、三股ハ五拾二銭より多からすとありたり｛【開農雑報】、朱書｝