槭樹科

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【荷蘭宝函】、錦窠伊藤圭介清民訳稿○カヘデ、槭樹一種「アホルンボーム」、此カヘデの類は許多ありて尤極めて有益の者にしてその世に顕るゝもの三十種に下らす、中に就て北亜墨利加九種、欧羅巴十二種、日本に甚た美なるもの六種、其余は亜細亜の諸部に産す」、此樹の材は器財の堅固にして能く久きに保つべき品は適せざれとも其細密にして琢磨するに殊に宜きを以て種々の飾をなすに甚た良なり」、且抽斗（ヒキダシ）の器に甚た便なれとも多くは猟銃の床尾、又床（ダイ）に之を用ひ、盒（ドース）及ひ器物の用と飾とを兼へきもの、又多く楽器を造る」、カヘデの液は多量の砂糖質を含む、此樹二種あり、其一を「ソイクアホルンボーム」、「アセルシャッシャリュム（ニグリュム、訂正）羅、砂糖カヘデの義、其二を「ズワルテアホルンボーム」、「アセルニグリュム」羅、黒カヘデの義、を称す、世に此樹を砂糖樹の名を唱ふる程此樹より之を出すこと多く、殊に北亜墨利加にては砂糖を収納するか為に多く之を用ゆる程なり」、第一種ハ彼国の北地、即北ペンセールハニー」。「ネウヨルク」の西（亜、訂正）辺「オッフルカナダ」、「ニーウスコットランド」、「ニーウエンゲランド」ノ北地に産す、又第二種、即「ズワルテアホルンホーム」ハ之に反して暖地に生す故に「オヒヨ」海峡名、及ひ亜墨利加西部の大河の岸迄能之を生す