松柏科　柏譜

日本語

かけくさ、陰草、ゆふかけくさ、夕陰草、和歌本草提要巻二、万葉、我宿の暮陰草の白露もけぬるもとなおもほゆるかな、同、陰草のおひたる宿の暮陰に鳴くきりきりすきけとあかぬかも、六帖下草の部に夕陰草あり、手向草○百種○八千種○おもひ草○目ざまし草、是等ハ草に非す、さきくさ、和名抄草、泔〓（サキクサ）○令、万葉、古事記にハ三枝と書けり、又日本紀、延喜式にハ三枝とも福草とも見えたり、万葉長、ちゝはゝもうへハなさかりさきくさの中にもねんとおりハしく、下略、同、春されハまつさきくさのさきくあれハのちもあひミんなこひそわきも、催馬楽、このと乃ハむへもとみけりさきくさのミつはよつはにとのつくりをる、契冲、余材抄序注にさきくさハ三つと云ふへき枕言なりと、和名抄、令、延喜式等を引たれとも未た其物を指て定めたる説なし○今按さきくさハ催馬楽、愚案抄又栄雅抄に疑なから注せし草の芽出しと云へるを定説とすへし、其証左に弁ず○和名抄草、附〓サキクサ、是草の芽出しなり、礼記月令に仲冬諸生蕩（ウコリ）注ニ謂動萌芽也、和名抄、〓ハ蕩の磨滅なるへし○又さきくさを三枝と書ならひたるハ草の芽出しハ先二葉に出初の其中心に一葉を出し三つ並ふ物なれハ三枝の文字を充たるならん、又さきくさの中とよみたるも此中心の一葉を云へり、三栗の中とよむに同し、又其三葉にまた一葉つゝ加ハりゆく物故に三つ葉四つ葉とも、又春されハとよむも即萌芽の時なれハなり