楡科

日本語

乍恐口上、比度被仰付候ムクの事、御聞合左の通合聞候、丹州路ニ於テムクノ葉ノ出ル処ハ舩井郡本梅谷、赤熊村名物ニテ右方ニテ葉ヲコキ取候ニ、メムク、オムクの差別無之候由、尤オムクの木■三十ヶ年斗リモ生立候と少しツヽ所々ニ松ノあら皮ニ似■候、■のあら皮出来候由、又葉形丸キ形にて鮫多くありて木目あらきよし、又右あら皮■（美しく、訂正）こスりこスりとむけ落るよし相聞候、又メムクハ木肌美しくあら皮無之、葉かし長き方にて鮫細クにて少しのよし、木目細きよしに相聞候、尤もミがき物によりメムクハ細くに細キ物に宜■も有之候由、彼地にて実を蒔候様之義ハ無之、独りはへに有之、近き地に種置候て十ヶ年斗も相立候、比より秋彼岸に相成候と葉一枚も無之様に四五ヶ年の間、こき捨候由、右様ニ世話致し候ヘハ、年々葉厚く相成、鮫多分出来候由、メムクも同様の事ニ候由、又凡三四十年斗ニも相成候、年々ハ実のり不申候由、メムク、オムク共実ノリ候由、尤メムクの実蒔候へハメムクに不限其内りオムクも生し候由ニ相聞候、且又光先達而指上候ムクハオムクの木実落散候辺にて取寄指上候、又其節の実ハオムクの実ニ御座候、右村方ニ而ムクの木野米川端或ハ社の森林にも多分有之候得とも、■木の内に前書之通こき捨候様の手入無之候付間ニ合不申候由、右の通世話■こと置候■■メムク、オムクの差別なく秋彼岸ニ相成こき取候而半■ばかりの縄に繋き乾候由、右ムクの葉ハ赤熊村土地によく応し右村に限り候由ニ相聞候、右の通ニ御座候間、一応御返書奉申上候、以上、十一月廿八日、丹州岡部八兵衛、吉川丈五郎様、三園ハ予京師相■候節、天保三辰年吉川丈五郎か願ニ聞合候節之書物なり、依而爰に附す、三園ハ神谷喜左衛門也