楡科

日本語

楡（タ）、やにれ【和名鈔】【本草和名】はるにれ、にれ、ねり、越前にれの転なり、ねれ〈木曽〉、【同上】、あかたも〈松前〉、やきり〈尾州〉、ツキサニ〈蝦夷〉、イカツブ、アフシヤニ、共に【同上】、鑽天楡【通雅】、零【群芳譜】、鞾鞋樹【同上】、楡銭樹【救荒本草】、（潅）、木曽山中及（およ）ひ野州日光山中禅寺辺に多し、春の初め葉に先して花を生す、形状ふささくらに似て長サ三分許リ、一蒂に数花ヲ結ふ、開く時ハ薄紫色、花後実を結ふ形もみじの実より似て羽なく薄く、中に円き実をなす、熟すれハ茶褐色となる、春の中に葉を生す、形桜の葉に似て短く円く、樹皮を採りて薬用に入る、此を楡白皮と云、一種、葉の形前条に似て大ひなる物、一種、葉の形前条より長大なるもの、一種、葉の形前条に似て本狭く白毛なるもの／楡、木高而直、邑人選大材必出、此明崇禎庚辰大饑、人剥其皮食、殆■然食之身腫、【充州府曹県志　四】、楡、江南有刺楡無大刺楡、蓋大楡北方有之【爾雅翼】、楡、一名枌皮可充鐖、【河間府志】、【天津県志　十三】／ニレ、サビタ、ツプシヤニ、ラシユハニシコツ、【蝦夷藻汐草】、楡歟／楡、銭トモ云、葉ハ桜葉ニ似テ短ク互生ス、コノ木寒地ニ生ス、南国ニハ産セス、木ノ白皮ヲ取リ粗皮ヲ去ル者ヲ楡白皮ト云、又食ベシ、本邦ニテモ上古ニテハ用ヒシコト延喜式ニ見エタリ