漆樹科

日本語

ハ下作物ノサワリトナ、山野ハ枝ヲ止ルモ其心ニテ、低ク平シテ枝ヲ出ス様ニ仕立ヘシ、都テ小木ヨリ乎ヲ入テ枝ヲ止テ枝数多ク付タルハ、其実ノリ十倍ナリ、又八九月ヨリ出ル枝ハ自然冬ノ中ニ枯ルナリ、其接方モ近来ハ色ニアレトモ、三年ノ台ニ穂ヲ長ク採テ地ノ中ニ入様ニ指接ニスルヲヨシトス、何モ自試テ、其妙ニ入ル、扨其実ヲ採ルハ八九月ノ末黄ニナリテ来ル時ハ蝋ノ出目尤多シ、茎ノ枯ル至テハ宜カラ次随分枝ノ損ム様ニシテ房トモニ採ルヘシ、尤四五十年ノ老木ハ枝トモニ折取リ、新ニ枝ヲ出ス時ハ翌々年ニ至テ又多ク実ルナリ、悉ク採収ヲ日ニ乾スヘシ、上々ノ実ハ円ニテ掛目ヨシ、九州ニテ一片四十文位ナリ、中ハ平タシ、一片ニテ二十四文位下実ハ十二文位大ニ甲乙種々有リ、某蝋ノ笈（シホル）法別ニ記セリ／｛ハ木、卅一、朱書｝、漆｛（ウルシ）、ハ、卅一、【花名集】、朱書｝一名蝋ノ木、高木葉はくるみのことくにて、花白く房咲也、実有て手まりの如く、数はかぎりなくすさまじ、八月の頃に取て是を制法にかけて、蝋とする、焼かへして、ひん附とする也、蝋をよく晒らして真を入、蝋燭となる此実也、木ヨリうるし出る、白くねはし／はじ、万葉巻二十に神の御代より、波自由美を神代紀下に吏栲弓（今別木栲弓に作る之誤也、記に波士とよみたり、今筑紫にてハシノ木ともその実を窄（シホリ）て蝋をとる木あり、いにしへの栲弓もこの木にて作るにや、歌にはしもみちとよみたるはまさしくこれなるへし、案に今の弓材を専らハシの木を用ひたりといへり、猶尋ぬへし、異木順抄に孫〓唐韻を引て梓和名阿豆佐又波之ニ注したり、【国史草木昆虫攷　巻六】