自イ至ホ
引用
『自イ至ホ』(名古屋大学附属図書館所蔵)「伊藤圭介文庫 錦窠図譜の世界」収録(https://da.adm.thers.ac.jp/item/n002-20230901-01430)
記載例をコピー
ID
M2005033014344910459
コレクション内カテゴリ
- 錦窠蟲譜
書名
自イ至ホ
別タイトル / 旧書名
Vol. 002 自イ至ホ
巻次
002-020
本文言語
日本語
翻刻・翻訳
螟虫ノ経歴、此虫ノ孵化シタル際ハ、其大サ纔ニ一分許ニ過ギザレトモ、頭大ニシテ黒褐色ヲ帯ヒ、或ハ葉ノ上ヲ跂行キ、或ハ茎ヲ攀チ、或ハ口ヨリ細キ糸ヲ吐キテ稲葉ヨリ垂下リ、風ノ力ヲ藉リテ他ノ稲株ニ移リ、其軟部ヲ求メテ茎心ニ蝕入ルモノナリ、夫ヨリ凡十二三日ヲ経テ二三分ニ長ジ、又十二三日ヲ経テ五六分許ノ裸虫トナリ、食尽クレハマタ他茎ニ移リ、其稲ヲ食害スルコト、此時ヲ以テ最盛ナリトス、爾後更ニ成長シテ八分強ニ至レハ、忽チ変シテ蛹トナリ、凡ソ十日ヲ経テ小蛾トナル、此蛾ハ夜陰ニ交尾テ白顆内外ノ卵ヲ稲葉ニ産附ケ、尾毛ヲ抜キテ之レヲ被ヒ、此卵孵化テ又茎心ニ蝕入ル、地方ニ由リテ、二回若シクハ三回ニ及フ、其秋季ノ末ニ孵化シ、螟ハ残株刈稿等ノ中ニ蟄伏テ厳冬ヲ凌キ、翌年五六月ノ交、又蛾ト化テ卵ヲ稲ノ種苗内ニ産附ルモノナリ、斯ノ如クスルコト連年循環シテ止マス、是年ヲ経ルニ従ヒ其害ノ益盛ナル所以ナリ○駆除法、発生ノ期季即チ五六月ノ間、苗代ノ辺ヲ見廻リ、小蛾ヲ認メナハ、速ニ箒ノ類ヲ以テ其畦畔ニ潜伏ルモ(モ、抹消)ノヲ打殺シ○又苗間ヲ捜索テ蛾ノ飛揚ル所ヲ撲殺シ、又薄暮ヨリ十時頃マデ、其田辺ニ火ヲ点シテ之ヲ焼殺スベシ○但、収穫マデハ此小蛾ヲ認メ次第、幾度モ此法ヲ施スヘシ○既ニ前法ヲ施シタル後ト雖モ、挿秧前ニ稲葉ヲ検視テ卵ノ産附ケアルモノハ勿論、葉端ノ萎黄タルモノ、或ハ黄点アルモノハ皆之ヲ摘採リテ焼捨ル歟、又ハ深ク土中ニ埋ムヘシ○心枯、穂枯、立枯等ハ、?耘ノ度コトニ見当リ次第根共ニ抜採リテ、其侭深ク土中ニ埋ムヘシ○収穫前ハ殊更ニ前ノ如ク抜採リテ焼尽スヲ最緊要トイレト、其数若シ甚タ多キトキハ、一々抜採ルコト甚タ煩シキモノナレハ、斯ノ如キ場合ニハ収穫後悉皆其刈株ヲ掘取リテ、之レニ石灰、厩肥ナトヲ混セ、或ハ人糞、油滓等ヲ加ヘテ堆肥ト成スヘシ、是レ残株中ニ蟄居ル虫ヲ蒸殺ス為メナリ○藁ハ被害最モ甚シキモノナレハ、順次ニ燃料、或ハ厩ノ敷藁ニ用ヒ、縄、莚、草鞋、俵ナトヲ造ル分ハ遅クモ、二三月頃迄ニ打軟ケテ貯置キ、播種後ニ焚クヘキ分ハ、竈上等煙気ヲ被フル処歟、又ハ密閉セル処ニ積置クヘシ○田畔路傍等ノ雑草中ニハ諸害虫ノ潜伏スルモノナレハ、冬ノ中ニ焼払フヘシ、【茨城県勧業報告 第二十七号】
来歴・典拠・由来
茨城県勧業報告第27号
所蔵機関
名古屋大学附属図書館
メタデータ提供者
名古屋大学附属図書館
資料種別
和古書
画像有無
カラー
コレクション
伊藤圭介文庫 錦窠図譜の世界
日本における近代植物学の祖といわれる伊藤圭介の稿本(手書き本)188冊を集めたもので、その中には、錦窠植物図説、採草叢書の他、錦窠魚譜、錦窠虫譜等があります。
所蔵機関
名古屋大学附属図書館
コンテンツ(画像等)のライセンス
メタデータのライセンス
コンテンツの利用について
こちらをご覧ください