松柏科　松譜

Japanese

落葉松、カラマツ又フシマツト云フ、葉ハ枝の節毎ニ輪状ヲナシテ囲生す、其状柔軟にして且霜ニ逢ふて凋落す、樹性能く直立し彎曲せるものなし、外皮ハ赭黒色にして鱗片甚疎ならす、材質ハ微紅を帯ふ、故ニ材木商之をアカマツと云ふ、脂気多く木理通直ニして甚堅硬ならす、能く水湿ニ耐ふ、此木ハ第三帯より第四帯に跨り生す、故ニ厳寒の地ニ多し、土質ハ火山石の地ニ適し、駿州富士山、甲斐の富士山並面及ヒ八ヶ岳、信濃浅間山、御嶽、上野白根山、下野日光、越後妙光山等ニ繁生す、此人造林ハ信州ニ尤も多し、其効用ハ多く、家屋の用材に供し、其他船艦、橋梁及ヒ器具等ニ用ふ、其脂液も亦使用多し、仕立方ハ略杉に同し、其一法を拳けんニ、秋季種実を収め、翌年春分の候、先つ土を柔け、細砂を布くこと六七分、其上ニ種子を撒布し、之を踏固め、藁を以て之を覆ふ、若し苗木発生不良なれハ、薄く肥をなふに、苗甚茂密するときハ之を洗採して他ニ移し、四年ニして林地に移植す、五鬚松、又ゴエフマツと云ふ、葉五針攢生し、其状較也、赤松ニ類し柔軟ニして葉背微白なり、四時凋零せす、樹皮紫黒色を帯ひ、厚からす、全体の状柔婉なり材質ハ白色ニして材心微に黄赤色を