松柏科

Vol. 134 松柏科

伊藤圭介

Japanese

弁慶七ツ道具考、｛四香草、朱書｝、弁慶カ像ヲ画クニ弁慶カ七ツ道具ト名附テ鉞鋸槌鎌クマ手之類ヲ背ニ負クル形ヲ画ケリ、此七ツ道具ノ事、義経記其外古キ物語等ニモ見エス、諸書当用抄、北畠家ノ記也、古書也ニ云々、七ツ道具ト云事、先具足、同かたな、同太刀、同矢おふ也、同弓持、同ほろかくる、同かぶとを着る也。是を七道具、或ハ七ツ物ト云也。他流ニハ太刀二振、長刀などやう数多持事ト云。おかしき事也ト見ゑたり。然レトモ弁慶七ツ道具ハ其品これと同シカラス、按スルニ義経記、住吉大物二ヶ所合戦之条、に武蔵坊ハ弓矢ヲモ持サリケリ、四尺弐寸有ケルつか装束ノ太刀はひて、岩とほしと云刀ヲさし、ゐノめほりたるまさかり、ないがま、くま手ヲ船にからりひしりと取入て身を離サス、持ケルものハいちゐの木のばう（イチヰノ木ノ棒）、一丈二尺有ケルニ黒かねふせてひるまきしたるニ、石づきしたるを脇にはさみて、小舟の先キニとひのると云々、此ものがたりによりて色々乃物を七ツ道具ト名付テせに負しさまニ画クなるへし、義経記ニハせニ負しにはあらす、船ニ取入レシ也、安永七歳戊戌十一月七日　扈從隊士　伊勢半蔵　真文書

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470.3-I-134(153)