蘇鉄科

Japanese

師（し）これを救（すくひ）給へ、演師（えんし）夢さめてあやしくおもひ、土をのそき、根を見れば数万（すまん）の陏榊轄ェ（おありね）に集（あつま）り、勢に乗てそてつの中心を逑艶I（ゑりしょく）せんとす、依（よつ）てこれを洗除（のぞき）土をもりて封をあらためければ、生気（せいき）もとのごとし、第十三世日、厳（ごん）上人の時も又如是（かくのごとし）、前後患（うれひ）同しく、両時夢（ゆめ）を同しくす、可謂奇異（いいつべしきい）也と、第十四世日亮（りやう）上人の時、城州（じやうしゆう）より夫婦（ふうふ）来ていわく、我（わ）が娘臨産甚（むすめりんさんはなはだ）くるしめり、其時空中（そのときくうちう）に声（こへ）ありていわく、堺の蘇鉄にいのれと、女その言葉（ことは）に随（したが）ひ祈（き）念せしに、ひとりの異（い）人そてつの葉を授（さづく）ると見て、たちまち安産（さん）、母子共に無恙（つつがなし）、このゆへに、霊木を拝（はひ）せんため態（わざ）と来れり、此已後蘇鉄めぐり垣（かき）の竹木（ちくぼく）を毎歳送（まいさいおく）り供ぜんと契約（けいやく）して去る、其後産前（さんぜん）の者いのりをかくれバ必す安産にして、難産（なんざん）の患（うれい）なし、子なき／三

摂和泉堺妙国寺蘓鉄略縁起