松柏科

Japanese

用に供たれとも今猶余材ありとて院主が見せられたるハ丸さ三尺二寸許にて丈（たけ）六尺余のもの一本、丸さ二尺七寸余にて丈（たけ）二間ばかりのもの一本あり、此木にて額を造りしハ至極よき思付なれど、外の用にせんハ惜（をし）きものなれは、縁の用に挽くことハ先見合されよ、斯る古木といひ、殊に清浄の地におひたちし香木なれば、東京の好事家に望むものゝ必す有るべしと止められしよし、何某の許へ告おこせしとぞ、新木の白檀ハさのみ貴重もあらねど、仏地にありし木なれハ、仏師などの手に帰して仏像彫刻などの料ともならバ此木の幸ひるらんかし、｛明治十六年九月三十日【東京絵入新聞】、朱書｝