茅荑科

Vol. 117 茅荑科

伊藤圭介

Japanese

五月丙子朝甲申、天皇於清涼殿着素服、戊戌天皇除素服着堅絹御冠橡染御衣臨朝也、御簾及屏風縁並用墨染細布云々、こゝにいへる橡ハ平絹地の橡満也、さて別に橡に綾を染たる事あり、是は茜を入て染る也、初にいへる如く式に見えたり、されは吉服の橡ハ茜を加へて染、凶服の橡ハ橡斗也、是吉凶分別ありて、貴賤相混することなし、奴婢の橡にも茜を入て染る故に橡斗にて染たる御衣とハ異なり、殊に綾織物は奴婢の着ものにあらん、されは都て混合することなき也、後世の錫紵ハ地布黒橡とみえ、亮陰にも黒橡は地絹也、錫紵ハ闕服の御袍、亮陰ハ御引直衣との替あり、またのためしには錫紵ハ布、涼闇ハ御引直衣鈍色の生平絹ともあり、これハ皆古の黒染の■絶て只鈍と橡斗になり、其橡も五倍子鉄漿染にてあれは只布を用ひ平絹を用ひ、臣下に綾を用うれは有文ならさるのミ凶服の古実を称せり、後世の凶服抄に黒橡といふはふしかね染の黒にて白橡といへるふしかねそめの浅きにて浅黒色

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470.3-I-117(136)

「伊藤圭介」の朱印