楡科　欅譜

Japanese

｛【国史草木昆虫攷】、朱書｝つきの義、順抄に槻を注したり、唐韻を引て槻木名堪作弓也、万葉巻二に堤に立有槻木之己知碁智（ヨチマチ）乃枝之春之葉まさうゑ槻なともよミたり、また神功紀摂政元年の歌に菟區瀰とよみたるも槻弓也、昔陸奥国にて秀衡のつくれる十万弓をミるにまさしく今もいへる槻の材也、さて槻ハ其葉よく欅に似たり、之をつはりにをるにその葉ハ﨔葉に似て辺の岐歯に尖もなく、其材ハ脈理連絡戻里（スチメカラミモトレ）けれはいと強勁也、よて今は多ク紮版（シメキ）、紮杭（シメクヒ）の科（マウケ）とせり、其勁きと衆木に勝れりといへり、いにしへ弓材の用ひしもけに義理也、按に江陰県志云、槻質堅而勁多葉繁陰、人家門巷多樹之、俗にケヤキに槻の字を用ひしはツキといとよく似たれは也、されとツキは木理交糾してケヤキの如し、真聳ならす、其葉もケヤキの似たれとケヤキは葉辺の岐歯に鋸歯の如く尖れり、ツキは尖歯なし、図識に図状あり、立之云、秦皮、槻ツキ也、又青〓ト云、但黄〓ハ黄栢也、槻〓白物也、同種ニシテ青皮ナルモノ秦皮、黄皮ナルモノ黄栢也、（槻弓、〓弓同シ、此木ノ皮ヲモテスク紙ヲ〓紙ト云、此木ノ皮ヨリ青キシル出ル也、此シルヲツクレハ目ノ薬ナリ、又コレヲ墨ニ入レル也／ツキケヤキ