楡科　欅譜

Japanese

｛ケヤキニ仮、朱書｝百六六上／槻弓の事、槻弓、延喜式、三伐実録、其外古書ニ見エたり、｛【四季草】、朱書｝、槻の木にて削たる丸木弓也、和名抄、槻和名豆木の木と有り、つきの木とけやきの木と同し根なる物にて見分かたし、相模の国大山の杣人の云しは、つき木をは弓の木共云けやきの木と似て木を見聞かたし、木を削て見れハ分るゝ也、けやきハ只竪て木理なり、サレハ田舎にてスキクハノ柄に用るは甚強し、折れすと云、又植木を商ふ老翁云しハ、つきの木とけやきヨリ見分かたし、夏の炎天に見分様あり、夏の日照にけやきの葉ハ両の端上ヘ少しそり上りて葉中くぼニ成也、つきの葉ハ平にして両の端たり上分す、是を以て見分るなりと、槻の字にけやきと訓を付たる類字書有、誤也、木／｛ケヤキニ附、朱書｝槻弓、日本記、三代実録、延喜式ニ見エタリ、日本記ニ菟区由弥（ツクユミ）トアリ、是ヲ釈日本記ニ槻弓也ト云リ、きトてト音通スル故、つきヲつくとも云タルナリ、［太平記ナドニつく打タル弓ト云ハ別ノコトナリ］、是槻ニテ削タル弓ナリ、植木ヲ業トスル老人、前ニ出タレハ略ス、けやきの葉ハ夏天暑ノ時両方ノ端表ノ方ヘ上リテ少シ中クホミ成、又下略、槻弓古歌ニモヨメリ、夫木抄ニ、十題百首木、前中納言定家卿、今ミれは弓きる程ニ成ニけり植し岡へのつ「きの片枝、又同抄、家集恋、修理大夫顕季、関守か弓にきてふつきの木のつきせぬ恋にわれおとろへぬ、｛【四季草】、朱書｝