楡科　欅譜

Japanese

一槻弓、日本記、三代実録、延喜式に見へたり、日本記、莬區由弥とあり、是を釈日本記ニ槻弓也と云へり、きくと音相通する故、つきをつくとも云たる也、太平記なとつく打たる弓と云ハ是前の事なり、是槻の木にて削りたる弓也、植樹を業をする老人のいひしハ槻とけやきとハ見分かたし、能似たる物は身木も葉も少も替（カワ）る事なし、然れとも夏に至って大暑の時けやきの葉ハ両方の端表の方へそり上りて少しなるくほミ成、槻の葉ハ大暑にも右の如くならず、葉の表平ニて中くほになる事なし、是槻とけやきとの見わけ也と云へり、又相模国大山の杣人のいひしハ槻弓の木とも云、けやきに似て見分かたし、然れとも皮を去り身木を削りて見れハ、けやきハ木理竪に通りたる斗にて、かわりたる事なし、｛伊勢貞丈説、【蘭畹摘芳　四編七】出、朱書｝

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