薔薇科

Japanese

○榲桲（マルメロ）及「メドウル」、｛柴田訳ノ百科全書果園篇、朱書｝、此両種ノ果樹ハ果園中ノ要品タルヨリハ却テ植物学上ノ奇種タルヲ免レサル者アリ、榲桲ハ植物学ノ分類ニ隨ヘハ、林檎及梨樹ノ同類ニシテ、彼榲桲ヲ母樹トシテ林檎ヲ接合シ得ベキカ如キヲ以テ、其同類タルノ一徴トスヘシ、欧邏巴ノ東部クニユーブ河畔等ニ野生シ、初メテ英国ニ来ルル者ハカンヂア島ヨリ輸送セル所ナリ、其未熟ノ時ニ当リテ一種特異ノ悪臭ヲ有シ、其味モ酸渋ナルヲ以テ多ク食用ニ供セス、或ハ時ニ林檎ヲ以テ製セルパイ或ハタアート、共ニ果子ノ名、ノ内ニ加ヘテ特異ノ香味ヲ生セシムルコトアルノミ、仏蘭西ノ南部ニ於テハ多ク榲桲ヲ産スルニ依テ之ヲ用ヰテ「マルマレード」、砂糖漬ノ名、ヲ製スルコトアリ、「メドラル」モ亦欧邏巴東南部ノ野生樹ニシテ、其果実一種峻烈ノ芳香ヲ帯フ、而シテ永ク之ヲ樹上ニ存セシムルトキハ、決シテ長育登熟スルコトナキヲ以テ、其未熟セサルニ及ヒテ之ヲ摘取シ、腐敗変性セントスルヲ待チテ初メテ之ヲ食フヘシ／榲桲（マルメロ）、｛【本朝世事談綺】、朱書｝寛永のころ、蛮国より渡、此実林檎（りんこ）のことし、南蛮人砂糖を以これを煮、加世伊太とよふ、痰嗽（そう）を活