薔薇科

Japanese

幽風の注に蘇轍云、唐棣之類此説あし、劉楨毛詩義問云、車下李、此説よろし、槃按に車下李ハ棠棣也、棠棣ハ即棠棣にして郁李也、小雅に常棣之華鄂不韡々、鄂不は花蕚の樹也、韡は説文に盛也、朱伝に光明也、其花の約然としてにほひいてたるをいふ也、爾雅に常棣ハ棣ナリ、注に如桜桃子可食、柯楷古義女部、棠棣の注に一跗輙生ニ蕚両と相麗、是皆郁李の常棣なる證なり、唐棣の棠棣にあらぬしるし左の如し、詩の呂南何彼礼矣に唐棣之華曷不粛雝、論語に逸詩を引て唐棣之華偏其反、爾雅に唐棣ハ移注に似白楊、俗名ハコキヲヽハクヤナギ、江東呼夫移、古今注に枎移円葉弱蒂、徴風則大揺、故名高飛、此喬木にして斯方山野或ハこれあり、葉ハ白楊と正に同しく、春嫩葉を敷、秋はやく墜、夏月白花を開き、穟をぬき櫕簇して下にたれ、風にひるかへるもの也、逸詩に偏として其反すこと也、蓋しこれをいふなり、諸国方言にシテノキ、シテヤナキ、シテサクラ、ヤマムロ、シテヤクラ、ヤクラハナ、ザイフリ、ヤマナラシなとなといへり、陸璣之をしらす誤て薁李となす、朱注にも唐棣を郁李也としるして後人に質さる、後人も又或は其非を暁さすして猶郁子と覚へたるをおほし、柯楷古義女部小雅常棣の注載、侗謂常棣、唐棣、棠棣特一物以棠唐常声相近、故通用非也、槃按に爾雅すてに唐棣と常棣を両条に出す、これ唐棣ハ枎移にして棠棣にあらぬ、明證をしるへし、【国史草木昆虫攷　巻六】