桜譜

Japanese

に子安の観音とて名高き寺あり、其内に不断さくらとて常に花咲く桜有、是は都近けれは古今共に其名高く、歌人俳人もろとも吟詠多し、只［　　］花多く其余は花少く冬などはわづかに［　］見付るほとなるよし、然れとも常に其花［　］咲る事世に類ひなき名木也、又［　］て冬の内より咲るさくら有、予の［　］し有にや、寒中に桜［　　　　　　］なども冬葉薄すして［　］花と同時に見る事上方ニハなし、［　］佐田の岬辺には一山のこらずそたつ也、又［　］就眼肉の木又は橄欖なと栄へしけれり、［　］にて暖気なれは、珍敷ともいふに足らず、伊予［　］桜はふしきの事とも也