梅譜

Japanese

○梅樹、神奈川県報告、神奈川県武蔵国久良岐郡ハ梅樹ノ繁殖ニ適スル地ナルヲ以テ民家競ヒテ之ヲ移植シ其株数既ニ千三百三拾本ノ多キヲ致セリ、其内七百五十本ハ杉田村ニ、三百八十本ハ中原村ニ、二百本ハ森村ニアリ、其移植年紀ハ今之ヲ詳査スルヲ得スト雖、概スルニ古樹ハ凡八十余年ヲ経過シ、新樹ハ二十年以後十ニ三年以前ニ於テ増植セリト云フ、其種類ハ浪花薄紅、種割、青梅、豊後、五郎、右衛門、ノ六種ナリ、其培養法ハ寒中ニ於テ樹根ノ周囲ニ数多ノ穴ヲ穿チ、人糞或落葉等ノ堆肥ヲ施シ入梅收実ノ後枯枝嫩芽ヲ去ルノミ而シテ、花季早キハ入寒十日ノ後、蕾ヲ破リ寒明頃ニ至リテ満開ス、收実ハ入梅十日後ヲ以テ適度トス、其收量ハ平年凡百三十六石八斗内外ナリ、之ヲ塩漬ニスルハ大梅四斗ニ塩九舛三合、中梅四斗ニ塩九舛ヲ用ヒ二十日間ヲ過キ日光ニ爆スコト、大梅七日、中梅ハ五日間トス、右収量ノ半ハ生実ニテ横浜ニ販売シ残ル半ハ白漬又ハ色漬トナシ、東京横浜ニ販売シ大ニ利益ヲ得ルト云フ、明治十七年一月二十六日、官報