漆樹科

Japanese

外国輸入部、十七年十月廿四日官報、五倍子出ツ／○ぬりで、日本記に白膠木をよめり、此木白膠ありて、塗へぎ物なれは名とせるなり、尾張上総にのての木、上野信濃におつかとの木、津軽にこまきといふ、護摩の乳木に用る是也といへり、和名抄に樗をよめるは心得かたし、白膠は楓香にして、今いふは塩麩子也、歌にぬるての紅葉とよめり、かつぎの條併せ考ふへし、○老たる鷹にぬるでうるしをたれて、羽をつぐとありとそ、○日本紀に鐸をもよめり、延喜式白塗の鈴といふ事見ゆれは、同義なるへし、新撰字鏡に〓をよめり、倭字なるへし、又擇をぬりての木とよめり、鐸に据なるへし｛【和訓栞】、朱書｝／｛【大和本草会識】、朱書｝五棓子、棓子本倍ニ作ルヲ佳トスフシ也、塩麩子ハヌルデノ実也、又ヌルデノ木ハ椿ニ似ス、此ニ誤リアリ、漆木（ウルシ）ニ似テ、巾広ク刻缼アリ、此実ノ皮ニ塩吹ク也、木塩トモ樹塩トモ云、虫ノ所吐ト云ハ非也、自然ニ塩気ノアルモノユヘニ塩麩子ト云也、○此ニ又塩膚子ト云ハ実ノコト也、五倍子ノコトニ非ズ、五倍子ハ生ノ巣也、茎或枝ニモ生ズル物也、ヌルデノ実ハ別ニ生ズルモノ也／塩敷樹、和名、フシノキ、カチキ【物理小識】山野極メテ多シ、木ノ高サ丈許状チ桼樹（ウルシノキ）ニ類ス、葉モ亦相似テ大アリ、辺歯（キレコミ）アリ、ソノ梗（エダ）ヲ挟ンデ直葉（シタヒハ）アルヲ異ナリトス、霜ヲ経テ亦色観ルベシ、夏間樹梢ニ白花アリ、簇（アツマル）々トシテ、穂ヲナス、甚タ細砕ナリ、細子ヲ結フ、円扁ニシテ黄褐色外ニ皺皮アリ、並ニ桼ニ似タリ、秋枝葉ノ間小房ヲ垂ル、蚊母（ヒヨン）樹子ノ如シ、乃チ虫毬（ムシノス）ナリ、ソノ形様一ナラス、採テ薬用ニ充ツ｛江西人　亀協従、朱書｝