無患樹科

Japanese

べし、されはいつれの地にても生ひ付ぬれは実を著ぬとみゆ、すへて寒を畏るる木も皆はしめ小樹のうちのみなり、長大に成ぬれは其性既に狃れ且堅剛にして寒に堪る事常のごとなり、蜀の成都に木槿一株あり、石上に生す、疥癬を治する事妙なり、所謂川槿の真種なり、人其皮を求るもの多きを厭ひて県令其熱湯を根に澆ひて枯せしむといふこと壬士禎か隴蜀余聞に記をり信の龍眼樹と同日の談なり、又今の人龍眼核を種ゆるものを見るに多く枇杷を生す、南橘北枳の類と見ゆ、豆州三島駅の寺に一株あり、葉檞に似て光沢長大なり、いまた実著す、信州松本のものは葉木槵子に似て厚かりといふ、大隅の産のものは木槵子の葉に似たりと云ふ