鼠李科　鼠梨集説

Japanese

把里烏律斯（パリウリユス）、（一名、抹消）「ラムニユス、パリウリユス」羅甸、○五雄一雌蘂ニシテ、第五綱第一目ニ属ス、「ヨーテンドールン」〈和蘭〉、欧羅巴ノ南辺、厄利祭亜（ギリシア）等ノ湿地ニ産スル潅木ニシテ或ハ大ナルトキハ（或ハ、抹消）尋常ノ樹ノ高サニ至ルコト（モノ、訂正）アリ、枝長クシテ刺アリ、但葉ニ近クアル所ノ刺ハ小ニシテ手ヲ刺ササズ、葉ハ小ニシテ殆ンド円クシテ尖リアリ、暗緑ニシテ赤ヲ帯ブ、其花小ニシテ黄色、五弁枝端ニ攅リ開ク、実ハ扁ニシテ形甲ノ如クシテ正中ハ隆起シ、周囲ハ膜ノ如シ、（此実ヲ「モントペルリール」、国名ニテ「シヤッペレツ」ト称ス、抹消）此中心ニ堅キ円核アリ、三室ニ分ル、毎室一円仁ヲ蔵ス、此仁油質アリ、ソノ色及光沢ハ殆ンド亜麻仁ノ如シ、甘味モ亦相似タリ、此実ノ状ニ据テ他ノ「ラムニユス」棗ノ類ノ品ト弁別シ易シ、「モントベルリール」、国名ニテ此実ヲ「シヤッペレツ」ト称ス、此葉ト根ハ収斂ノ力アリ、仁ハ緩和溶解ノ功アリ、胸ヲ和シ尿ヲ利シ腎膀胱ノ結（淋）石ヲ駆出ス、煎剤トシ久服スベシ、又末トシ用ユ、弘化乙巳秋日、錦窠伊藤圭介訳述□／右江戸ヘ遣ス