山茶科　茶譜

Japanese

茶園なと侍る也ともみゆ、海人藻芥に上古大内に挽茶の節会あり、其儀厳也、葉上僧正入唐の時、重高茶の種を得たり、明恵上人是を玩へりにて、茶は栂尾を本とするよしいへり、筑前列背振山に植て岩上茶と号するは、葉上僧正の時也、夢窓国師の詩に行列茶山睡眼開といへるも、栂尾を指り宋人茶の詩に、幸得梅山（トカノヲ）信初嘗日本茶とみゆ、春雨鈔茶の歌に、くもるなよ雨ふらぬ間そつみておけ栂尾山の春の花草、唐の茶歌に先春抽出黄金芽と見へたり、葉上僧正は栄西也、入宋の時、茶の製を詳にし喫茶養生記を撰じ実朝公に進り、又明恵におくれり、其茶子を盛りし壷、今に寺門にあり、俗小漢の小挿といふとそ、○茶の初は、類聚国史に、弘仁六年令機畿内並に、近江丹波播磨等国、植茶毎年献之とも行幸、滋賀韓崎梵釈寺大僧都永忠煎茶、献之とも見へたり、されと、伊豆山中に自然生の者多し、本邦古へより、是ありて人知らすともいへり、されは神代に其名を聞さるをもて神供に用ひし例もあらす、都良香銚子銘に多煮茶茗飲来如何と書り、惟宗、孝言茶賛あり後、朱雀帝の時より、盛に翫へるにやといへり、西土は群書備考に茶之名始見、於王褒僮約盛於陸羽茶経而、其税則自唐始也と見へたり、朝鮮は唐大和二年に茶子と得たるよし、東国通鑑に見へたり、○埃嚢抄に十服茶の記録を引、其法を詳に書せり、回茶は顔回、貢茶は子貢、一を聞て十を知、一を聞て二を知の義を取といへり、○婚礼納聘の時に茶を副る事あり、天中記に聘婦必以茶為礼儀凡種茶樹必下子移種、即不後生によるといへり、○職人歌合に茶をたて