自イ至ホ

Japanese

此虫タル六脚ヲ具ヘ、一対ノ角アルヲ見ル、然レトモ大概ハ通俗「バフツクウヒイトル」ト称スル「ビイトル」ヲ包臓スル白繭ヲ含蓄スルコトアルナリ、此「ビイトル」虫モ又六脚ヲ備ヘ、長大ノ鼻「ビンサアシ」ノ一対ヲモ持ツヲ見レハ、決シテ運搬中害ヲ蒙リ安キモノニアラス、之ヲ荷作スルニ二法アリ、其ノ一ハ年ノ三月末頃、五?子ヲ虫樹ヨリ取放チ、木油樹ノ葉ヲ以テ包ミ、二十乃至三十ヲ一梱トナス、尤梱ノ両端ハ麦藁ヲ以テ緊括ス、又其ノ一法ハ紙製ノ袋ニシテ、之ニ凡十二「オンス」程ヲ入レ一束トナシ以テ売買ス、一梱ニ付キ市場ノ価値ハ半「テール」ヨリ一「テール」トス、斯ク構造シタル五?子ハ、ジヂユヘント清国各地方トニ論ナク、?樹ノ持主ニテ必ス買収ス、該持主之ヲ買ヒ、其梱ノ表面ニ僅々ノ粗孔ヲ穿チ、然シテ?樹ノ一枝ニ掛ケ置クナリ、該樹ノ名称ハ知ルニ由ナシト雖、今日マテハ「ブラキシナス」ノ一種ニシテ「ブラキジナス、チネンズ」ト名ケ来レリ、ホシイ氏、園長ニ説明スル時ニ当リテハ、現ニ該樹ノ枝葉ヲ送リ、別ニ名ハ記セサリキ、前述ノ如ク五?子ヲ樹枝ニ懸ルニ至ラハ、各五?子内ニ棲生セルビイトルハ、予ネテ穿チタル孔ヨリ外ニ飛散スヘク良シ、初ハ飛翔スル能ハサルモ、雌雄ノ「ビイトル」ハ互ニ?樹ノ枝ニ群集シ、其卵ヲ産ミ附クル等、多少ノ害ヲ生スルアラムト、ホシイ氏ハ論シタリ、然リト雖、先ニビイトルノ飛去シタル同孔ヨリ、?虫モ亦自ラ跂ヒ出テ密ニ?樹ノ枝ニ匍行シ、十三日間ハ其古葉ヲ喰ヒ、後茲ニ脱穀シ再ヒ若葉ニ移リ、卒ニ口頭ヲ以テ其下皮ニ固着ス、其固着スルヤ如何ナル作為ヲ以テスルヤハ未詳ナラスト雖、一種ノ液物ヲ生シ、漸々化シテ幾重ノ?トナリ