忍冬科

Vol. 070 忍冬科

伊藤圭介

Japanese

莢蒁、がまずミ、よそゝめ〈江戸〉、すミ〈紀州〉同名あり、よつゞミ〈日光〉、むしかり〈尾州〉、かめから〈伯州〉、かざめし〈羽州〉にて飯に雑へて食するゆへ名つく、（潅）、かまとうし〈薩州〉、いたちのけたがへし、むまのふす〈信州〉、かふち〈八丈〉、うしころし〈丹波〉にてハくの木を牛の鼻へ通すゆへ名つく、挈榼【通雅】核榼【同上】、孩児拳頭【救荒本草】、小木にして高さ丈許りに過す、葉ハ両対して形円く、周りに鋸歯あり、深緑色にして皺あり、長さ二寸許り、夏月枝の上に花を生す、小にして五弁白色、数百族生して傘の如し、後実を結ふ、大さ赤小豆の如く秋に至り熟して赤色なり、味ひ酸く渋し、里の小児採て食ふ、此木やわらかにして折れかたし、故にねそといふ、ねそハ薪を縛るなわのことなり、一種樹葉花共に前條と同しく、但実熟すれハ黄色にして美し、味又前条と同し、莢蒁、一名孩児拳頭【救荒本草】、加末寸美、生近山人家宅辺亦有之、木高不過三四尺、春月生新葉、緑色淡黒、円長而鋸歯、浅枝葉倶対生、多短毛、夏月攅生簇五弁小白花、形似傘子状、花謝生実、形四扁而如小豆大、秋冬間其実鮮紅而可愛、【常陸物産志　十四】

岩崎灌園

10148324

470.3-I-70(88)

(灌)