樟科

Vol. 096 樟科

伊藤圭介

Japanese

［釣樟］くろもじ○越前にてねそと云、信濃にてぢしやといふ、｛【物類称呼】、朱書｝、案に釣樟花ハ黄色にして実ハ黒し、香気有、花ハつぼミたる侭（まゝ）にて落る故に信州にて童謡（こうた）につぼやぢしやどの咲かで落るといふ、つぼやとハ可愛（かわい）やといふ事なり、再案に越前国にてくろもじの事とねそと名つくる説非也、ねそとハ一木をさしていふにハあらす、くろもじの條（ずはへ）にても又外のすハへにても山人伐てとり、たとへハ橇（かんしき）の輪、或薪炭俵、或ハ垣なと結ふにも縄の如く用ゆる物を惣名ねそと云、これハねりその略語也、古歌にも、秋の野に萩かねおのこなハをなミねるやねりそのくたけてうおもふとよめり、なハをなミとハ縄なきといへる心也、山辺赤人かわかの浦にしほミちくれハかたをなミと詠せしも潟なきと云事にして片男浪にハあらずと也／黒モジ

クスノキ目クスノキ科

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470.3-I-96(114)