柿樹科　柿譜

Vol. 081 柿樹科　柿譜

伊藤圭介

Japanese

ニテ食ス、此品ハ霜ニアハセテ渋ヲヌキテ食スルナリ、柿ノ種類ハ夥多アリト雖モ渋柿ノ重宝ナルコトハ不少ヤ、又甘柿ニテハ黒柿ニナルコト更ニナシ、渋柿ハ始ヨリ終ニ迄数多人々ニ用ユラレルコト大ナリ、渋柿ノ大イニナル秘伝、先渋柿ノ木ニ甘柿ヲ以テツギ、サモスレバ柿怱チ大イナリ、又柿モ沢山ナルコトニシテタイテイ渋柿ヘ甘柿ヲツグナリ、此ノ甘柿ヲツグガ秘伝ナリ、柿古木ニシテ沢山柿モナラザレハ切去リテ若木ヲ以テツゲハ、柿モ沢山ナリコト屡々ナリ／柿図略ス、｛【工業新報】廿六号、十一年六月、伊国博覧会出品、雲領、大垣関山道久記、朱書｝○柿ハ日本固有の名産にして欧人も其美味に流涎する所たり、之を乾柿とすれバ美ハ則美なりと雖、既に其本質を失ひ、且生柿の如く純甘ならす、適当の貯蔵法（たくはへかた）を設け鑵詰め（かんつめ）の如き者輸出物に供せバ、食机上に名与を得るも亦如るへかしす、先年伊太利人クリストホリス氏ハ柿苗数百本を本国に携（たつさへ）帰りしことあり、其生殖奈何（そだちいかん）ハ未だ之を知らずと雖も其成否の報道を得るハ蓋し遠きにあらさるべし

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470.3-I-81(99)

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